

当店の仕事として、古い自転車の組み立てやオーバーホールなどは多いほうですが、今回のようなパターンは珍しく、また車体事態も珍しいものでしたので、ご紹介させていただきます。
1962年製の丸石自転車、「ピアス・アロー・スポーツ」
60年以上前の自転車が新品箱入りで出てきたと、普段お世話になっているお客様から連絡をいただきました。
60年で新品というのも、このクセのある自転車というのも、なんでいままで倉庫に仕舞われていたのか、その経緯のほうが気になるところですが、
付属品もほぼそろっていて、フレームの状態も良かったので、
喜んで引き受けさせていただきました。
古い自転車や歴史などには無頓着なほうですが、
せっかくなので調べてみました。
pierce arrowで検索すると、
一番に出てくるのはアメリカの自動車メーカーです。
1900年ごろから1938年まで自動車を製造していた高級車メーカーだそうですが、もとをたどると1890年ごろから自転車を製造、
その後、モーターバイクや自動車、トラックなども製作していたようです。
当時の自転車の写真を見ると、
シートステーの上側がサスペンションになっていたり、
チェーンレスのシャフトドライブだったり、
フォークブレードが2枚板のサスペンション構造だったりと、
とにかく最新の技術を詰め込んだような自転車を製造していたようです。
セーフティー型自転車の黎明期である1800年代後半、
これだけの挑戦をやっていたというのは驚きですね。
写真で見る限りでは、とても端正な作りなように見えますし、
当時の製造業の勢いが感じられます。
今回の丸石Pierce Arrow号は、おそらくこの自転車・自動車メーカーの名前が影響していると思いますし、特徴的なシートステーやダウンチューブの形状も当時のアメリカの流行に影響を受けていることでしょう。
また、この特徴的なデザインはGKデザインが請け負っていたようです。
当時自転車メーカーがデザインを外部のデザイン事務所に発注するというのは珍しかったのではないでしょうか。
それだけ丸石にとって重要な自転車だったということだと思います。
日本で実用車から本格的なスポーツ車が生まれる時代、
スポーツ車というにはまだほど遠いような自転車ですが、
当時の開発者の考えがなんとなく伝わってくる、おもしろい自転車です。
楽しいお仕事をありがとうございました。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
新品とはいえ、フレームは塗装が曇っていて、ところどころハゲもあります。
リアエンドも薄い板材でできていたため、曲がっていました。








部分塗装で補修して、全体磨きをかけて、新品の輝きが戻りました。





シマノの初期のタイプの内装3段ハブも、オイル切れですので、オーバーホールしました。
さすがに100%鉄部品です。





曇ったメッキ部分もピカピカに




当時の自転車らしく、たいていのパーツにメーカーのロゴが刻まれています。

こんなビニール張りのサドルがまったくの無傷です。
よほど保存のしかたがよかったのでしょう。

内装の変速機構も今とはかなり違いますね。
グリップシフトのレバーまでオール鉄です。


